講談社X文庫ティーンズハート、1992(※今回も以下いちおうネタバレ注意です)。シリーズ13作目らしいけれど、私は手前の巻をまったく読んでいないです。面白かったというか、ちょっと感傷的で、せつなさもあるけれど、ユーモアもあって…みたいな感じの小説(毎度、下手な説明だな(涙))。そもそもこの小説のような、ちょっと可愛らしい系の“浪人生小説”じたい世の中にあまりないので(そんなこともない?)けっこう貴重だと思う。浪人=ザ・男の世界だからね(1990年代、もうそれほどでもないか)。――いまだによくわからないけれど、千晶・浪人生編は次の4冊でいい?

  『悲しみがいっぱい』 13作目(13冊目)
  『恋愛国の恋愛姫』 15作目(16冊目)
  『抱きしめてエンジェル』 16作目(17冊目)
  『素顔にKISSして』 17作目(18冊目)

手前の『五月物語』(11作目)と『五月日記』(12作目)もだけれど、なぜか『恋愛国の恋愛姫』が売っていなくて…(あ、いや、どこかネット古書店で買えば買えるのかもしれないけれど)。このシリーズ、たぶんいま合計で10冊ちょっと持っていると思うけれど(ばらばらに置いてあるので、1ヶ所に集めてみないとわからないけれど)、それで半分くらい? もう集めるのがめんどくさいから(ネットで買うのも)、誰か復刊してくれないかな(涙)。そういえば、森奈津子や折原みとには復刊(再刊)されているものがあるよね? ――それはそれとして、本巻(13作目)について。

 <すべては、あたしの橙林学院大学受験の失敗から始まったの。/あたしと一緒に受験したホシオは、補欠だけど合格してた。エイリアンのくせに。/あたしの名前は、百武千晶。18歳の乙女。/ホシオと同じ大学に行くために。/あたし、決めたの。浪人。/1年間の、孤独な地下生活。/暇なし、娯楽なし。/たしかに、辛そうな気がする。/いや、辛くないわけがない……。>(表紙カバー折り返しより)

この<孤独な地下生活>(本文ではp.28)という言葉、ちょっといいな(汗)。<穴熊生活>と書かれている小説も読んだことがあるけれど。それはともかく、ホシオと合格発表を見に来た「あたし」は結局、掲示板に自分の受験番号が見当たらなくて、涙をこぼしている。で、受かっていた滑りどめの3流大(ホシオいわく2流半)を蹴って、橙林志望の浪人生に。――カップルで大学に合格発表を見に行く、というのは意外と小説では見かけない場面かな…(そんなこともないか、けっこう描かれているかも)。あと、落ちているのがわかってシンプルに(?)泣く、というのも(現役受験、浪人受験問わず)小説ではあまり見かけないような…?(最近記憶力がなくて、何かあれこれすっかり忘れている気もするけれど。男の子よりも、泣きやすい女の子のほうが落ちにくい、というのもあるかもしれない)。というか、今日も細かく書きすぎているかな(汗)。

そのあと描かれているのは、高校の卒業式(式じたいは退屈なものらしいけれど)や、通い始める予備校(意外な人物がいたり)など。面白いのは…というか、タイトルにも関係するところだけれど、友達のマキ(=坂本真希、某短大の家政科に)がガラス製の青い小瓶をくれて、悲しいことがあったらビーズを1個ずつ入れてね、みたいな…。読んでいてなんじゃそりゃ? とは思ったけれど、意外といい感じです(汗)。浪人生活は悲しいことだらけ…なのか? でも、浪人生活(勉強生活)自体も悲しいのかもしれないけれど、やっぱり想いを寄せる相手=ホシオがらみでもっと悲しいことが…。ホシオくんが大学でケバい感じの大学生(「六本木女」)に言い寄られてるのを、ESPなるもので察知した「あたし」は橙林に乗り込んでいって(?)。ネタバレしてしまうけれど、“浪人生小説”のお約束=“変身”“変装”みたいなことに。ホシオのほうも(その六本木さん以外の)ある女性のことが好きになって…、主役の2人の関係に危機が――みたいなことに。ま、とりあえず“恋愛小説”な感じ?(ほとんど読んだことがないんだけれど、少女漫画っぽいのかな?)。

ほかに浪人がらみの箇所では、頭がいいというか、実力はあったのに落ちてしまったらしい谷口くんの言っていることが、ちょっとよかったかな(pp.94-8)。季節は、えーと、作中の最後は、6月にまだなっていないくらい?
 

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