朝日ノベルズ、2010.6。シリーズの途中の巻をいきなり読んでみる。作者による「あとがき」によれば、<元祖「魔界都市<新宿>」シリーズ第四話>(p.214)とのこと。※以下いちおうネタバレ注意です。

 <十六夜京也の高校時代の同級生・八代多恵が<新宿>に居を構える牙一族の跡継ぎに請われて結婚した。彼女にひそかに想いをよせていたもと番長の角野は、牙一族の出自に疑問を持ち、彼女の身を案じて調査を開始するが、京也にそのデータを託した直後に惨殺されてしまう。誰が手を下したのか。京也は真相を突き止めるべく、ふたたび<魔界都市>に入った。シリーズ書き下ろし痛快作。>(表紙カバー背より)

意外と読んでいて飽きなかったな。カバー折り返し(著者の言葉)には<戦いにつぐ戦い>とあるけれど、小さい(というか文章的に短めの)バトルが連続して(休む間もあるけれど)起こっていく感じ。例によって自分、想像力がないので、動きがいまいちよくわからないところも多かったけれど(涙)。文章も、けっこう省略が多い? 登場人物はけっこうあっさり死んでいく。というか、もともと死んでいる人もいたりする。死んでしまった人も霊的なもの(?)になって、再登場してきたり…。でも、ちょっと面白かったせいか、世界がどういう設定になっているのか(<新宿区>がどうしてこんなふうになっているのか)、やっぱり、最初の巻も読んでみたくなった(汗)。そう、この巻では、地下深くには古代遺跡があったり(ネタバレしてしまうけれど、<牙トレーディング>は盗掘したりしている)――そういうなんだかもったいないな、と思う設定も多かったかな(使い捨てな感じ? 良くいえば、贅沢な?)。そういえば、<エ○チ度>(p.214)というか、エロ分って、もしかしてエロじじい(=牙老人、牙タケル)のこと?(汗)。

冒頭の予備校の授業の場面は、個人的には予備校っぽくないと思う。京也くんが先生に指されている。

 <「十六夜京也くん……解答したまえ」/「は?」>(p.10・上段)

名前を覚えられていること、講師の「~たまえ」という話し方…。そもそも予備校の先生ってあまり生徒を指さない…ような気もする。場所は、<新宿区>外である必要があったのか、(代々木とか高田馬場とかではなくて)駿河台で、<S予備校>。授業を受けている生徒が<四十数名>(p.11・上段)とか――やっぱりちょっとリアリティがないかな。あと、こんな箇所もある。

 <真っすぐ家へ戻らず、京也は「御茶ノ水駅」近くのゲーセンへ入った。/ストレスの塊――予備校生が押しかけるから、かなり広い。神田は古書店の町から予備校の町に変わりつつあった。>(p.15・上段-下段)

ゲームセンターが広い理由は、<3DCG>(プレイヤーが文字どおり血も流す)だったりするからかもしれないけれど、それはともかく、↑はいつの時代の話? 神田は、明治の時代から予備校の街であると思うんだけれど、…違ったっけ? でも、常識で考えて(?)、学生街(学生には予備校生も含む)と古書店街というのは、連動して発展してきたのではないか?(あ、でも、最初に学校よりも古書店のほうが出来ているというのは変か。先に学校ありき、もろもろの学校が出来てから書店・古書店が?)。
 

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