赤松光夫 「別れの祝賀パーティー」
2012年5月5日 読書
『ヤング・ラブノート はだかの青春』(集英社文庫コバルト・シリーズ、1977)所収、19篇中の14篇目(pp.149-60)。表紙カバーの折り返しに書かれた言葉のなかに、<本書は実際にティーンたちが体験したなまなましい話をもとに書きおろされた(略)>とあるけれど、でも、こういう本って、本当にちゃんと誰かの体験談をもとにしているのかな?(と、疑うのはよくないか。雑誌=『小説ジュニア』で読者から募集をしていたとか? …あ、言い忘れた、この本には前書きも後書きも付いていない)。内容というかは、現在高校2年(もうすぐ3年)の「わたし」(=敬子)には、高校1年の夏から付き合い始めた2つ上の先輩がいて、でも、その先輩=正幸(苗字は村瀬)は、1年前に現役での大学受験(東京と地元の大学)に失敗して、上京して予備校に。正幸が合格したら「わたし」たちは、2人だけでお祝い(祝賀会)をする約束をしている。で、今度1年ぶりに受験を終えた正幸が帰ってくることに……みたいな話。
ちょっと考えさせられる話だったかな…。本人も最後に言っているけれど、とりあえず(自分から告白したのであれ)もっと早くに別れればよかったのに、とは思ってしまう。夏休みに付き合い始めて、9月にはもう「わたし」は彼の優柔不断さや陰気さに気づいて幻滅(?)しているし。相手はその時点で高校3年の受験生だし(しかももう秋だし)、そのほうが相手=正幸さんのためにもなったかもしれない。逆に、読んでいて男の子のほうも「わたし」のことを、それほど好きではないのではないか、とはちょっと疑ったけれど。そんなこともない? あと、小見出しが付いていて(新書みたいだけれど、昔のコバルト文庫によくある形式?)、その最初のものは、<なぜか物足りぬデート>(p.150)となっている。自分ももてない男の1人なので、女性が心のなかで「いま積極的に来てほしい!」と思っていたとしても、ぜんぜん気づけないと思うし(涙)…なので、人のことは言えないというか、正幸くんに(その点に関しては)ちょっと同情してしまうかな。思うに、特に若い人どうしのデートで、毎度毎度2人とも大盛り上がり!…みたいなことも、逆に意外と少ないのでは? いろいろと失敗した上で、楽しいデートが……というか、関係のない話はもういいや(汗)。そう、教訓というか、この小説(というかリライトされた体験談)では、女の子側の愛(?)が男の子が上京する以前に冷めてしまっているので、受験によって離れ離れになった(女子=地方、男子=東京)カップルは、うまくいくのかいかないのか、みたいな一般論(?)の参考にはあまりならないかもしれない。
ネタバレしてしまうけれど、最後のへん、ちょっと強引にラブ○テルに引きずり込まれた「わたし」は、別人のような彼の目をみて、彼を突き飛ばして逃げるのだけれど、その数日後、
<数日後、わたしは、正幸が、今年も受験に失敗したことを噂で知った。/彼の合格は嘘であった。>(p.160)
なんてビターな結末…(涙)。個人的には「わたし」よりも、この浪人生のほうを心配してしまう。翌年以降、どこか大学には受かったのかな? いや、大学に入学していなくても、その後の人生はちゃんと送れているのかな?
ちょっと考えさせられる話だったかな…。本人も最後に言っているけれど、とりあえず(自分から告白したのであれ)もっと早くに別れればよかったのに、とは思ってしまう。夏休みに付き合い始めて、9月にはもう「わたし」は彼の優柔不断さや陰気さに気づいて幻滅(?)しているし。相手はその時点で高校3年の受験生だし(しかももう秋だし)、そのほうが相手=正幸さんのためにもなったかもしれない。逆に、読んでいて男の子のほうも「わたし」のことを、それほど好きではないのではないか、とはちょっと疑ったけれど。そんなこともない? あと、小見出しが付いていて(新書みたいだけれど、昔のコバルト文庫によくある形式?)、その最初のものは、<なぜか物足りぬデート>(p.150)となっている。自分ももてない男の1人なので、女性が心のなかで「いま積極的に来てほしい!」と思っていたとしても、ぜんぜん気づけないと思うし(涙)…なので、人のことは言えないというか、正幸くんに(その点に関しては)ちょっと同情してしまうかな。思うに、特に若い人どうしのデートで、毎度毎度2人とも大盛り上がり!…みたいなことも、逆に意外と少ないのでは? いろいろと失敗した上で、楽しいデートが……というか、関係のない話はもういいや(汗)。そう、教訓というか、この小説(というかリライトされた体験談)では、女の子側の愛(?)が男の子が上京する以前に冷めてしまっているので、受験によって離れ離れになった(女子=地方、男子=東京)カップルは、うまくいくのかいかないのか、みたいな一般論(?)の参考にはあまりならないかもしれない。
ネタバレしてしまうけれど、最後のへん、ちょっと強引にラブ○テルに引きずり込まれた「わたし」は、別人のような彼の目をみて、彼を突き飛ばして逃げるのだけれど、その数日後、
<数日後、わたしは、正幸が、今年も受験に失敗したことを噂で知った。/彼の合格は嘘であった。>(p.160)
なんてビターな結末…(涙)。個人的には「わたし」よりも、この浪人生のほうを心配してしまう。翌年以降、どこか大学には受かったのかな? いや、大学に入学していなくても、その後の人生はちゃんと送れているのかな?
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