ゆずはらとしゆき 『雲形の三角定規』
2012年8月20日 読書
双葉社、2012.5。1,500円(税別)もしたよ(涙)。ひと言でいえば微妙な青春小説、かな…。若い2人の漫画家志望者(のち漫画家)を主人公にして、1990年代半ば以降の漫画の技術や漫画業界の変遷(流行)などについても書かれている小説。うだつがあがっていないというか、けっこう底辺な若者(のち大人)たち? 周囲や上(?)にいる同業の人たちに対して“分析力”ばかり逞しくなってしまうのもしかたがないかもしれない。私にはよくわからないけれど、将来、漫画家になりたいと思っている人(高校生くらい)で、ちょっと昔の話も知っておきたい、という人が読めば、勉強になっていい小説かも。
そもそもけっこう情報小説であるわりに、全体的に情報の提示のしかた(順番や分量なども含む)がなっていない気がする。――具体的に言っておいたほうがいいかな。「序章 〈悲しいしらせ〉」(この章題はネタバレだろう)の「001 〈2010年・夏〉」の出だし(要するに本文冒頭)は、次のようになっている(p.8)。
-----------(引用開始)---------------
「早くしろよ! 乗り遅れちまうぞ!」
呆れ半分、怒声半分――帆足弓彦の声に応じて、山手映輔があわてて駆け込んでくる。
「ビールなら車内でも買えるだろう?」
「……気分の問題だよ」
車内へ駆け込んだ山手は、呆れるように言った帆足を適当にいなしつつ、指定のシートへ身体を放り投げる。
携帯電話の時計表示は十五時五十九分、発車まで一分を切っていた。
-----------(引用終了)---------------
いわゆる「視点がぶれている」状態? というより、1視点小説(1元小説)になっていない(読みづらい(涙))。漫画のノベライズのような小説(?)だからしかたがないのかもしれないけれど。私は最後まで読んだけれど、冒頭の3、4行を読んだ時点で、読みやめてしまう人もいるかもしれないね。ほかにもわかりやすいところでいえば、<携帯電話>ってどっちのだよ? とか。どちらかといえば、帆足? でも、みなさん(?)すぐそう解釈できます?(うーん…)。それと(人のことはぜんぜん言えないけれど)全体的に記号が多用されている。ダッシュ(――)や3点リーダー(……)、山括弧(〈←これ→〉)に傍点、さらに「真剣」と書いて「マジ」と読む、的なルビも多用されている。読んでいるとすぐに慣れるけれど、とりあえず個人的にはちょっと痛くも感じる。細かいことだけれど(というか、どうでもいいことだけれど)、<呆れ半分、怒声半分>って、感情と声を足しても1(全部)にはならないよね? あ、いま気づいたけれど、言葉の繰り返しも多いかも。別に<怒声半分>と言わなくても、<「早くしろよ! 乗り遅れちまうぞ!」>という台詞(感嘆符2個付き)で「怒ってる?」とは思うし、<呆れ半分、~>/<呆れるように言った~>とか、<駆け込んでくる>/<車内へ駆け込んだ~>とか、けっこう頭痛が痛い系の文章…? あと、全体的に<十五時五十九分>みたいな、細かすぎてどうでもいい(と私には思える)情報も多いかも。そもそも、私は漫画家を目指しているわけではないので、その関係の微細な話(技術論など)も、個人的には要らない。
なんだかどうでもいい細かい文句ばかり書いてしまったけれど(もちろん全否定したいわけでもないし)、えーと、繰り返しておけば、漫画家志望の人が読むと、けっこう面白くてためになるような小説かもしれない(あ、いや、ほんとのところ、私にはよくわからないけれど)。
そもそもけっこう情報小説であるわりに、全体的に情報の提示のしかた(順番や分量なども含む)がなっていない気がする。――具体的に言っておいたほうがいいかな。「序章 〈悲しいしらせ〉」(この章題はネタバレだろう)の「001 〈2010年・夏〉」の出だし(要するに本文冒頭)は、次のようになっている(p.8)。
-----------(引用開始)---------------
「早くしろよ! 乗り遅れちまうぞ!」
呆れ半分、怒声半分――帆足弓彦の声に応じて、山手映輔があわてて駆け込んでくる。
「ビールなら車内でも買えるだろう?」
「……気分の問題だよ」
車内へ駆け込んだ山手は、呆れるように言った帆足を適当にいなしつつ、指定のシートへ身体を放り投げる。
携帯電話の時計表示は十五時五十九分、発車まで一分を切っていた。
-----------(引用終了)---------------
いわゆる「視点がぶれている」状態? というより、1視点小説(1元小説)になっていない(読みづらい(涙))。漫画のノベライズのような小説(?)だからしかたがないのかもしれないけれど。私は最後まで読んだけれど、冒頭の3、4行を読んだ時点で、読みやめてしまう人もいるかもしれないね。ほかにもわかりやすいところでいえば、<携帯電話>ってどっちのだよ? とか。どちらかといえば、帆足? でも、みなさん(?)すぐそう解釈できます?(うーん…)。それと(人のことはぜんぜん言えないけれど)全体的に記号が多用されている。ダッシュ(――)や3点リーダー(……)、山括弧(〈←これ→〉)に傍点、さらに「真剣」と書いて「マジ」と読む、的なルビも多用されている。読んでいるとすぐに慣れるけれど、とりあえず個人的にはちょっと痛くも感じる。細かいことだけれど(というか、どうでもいいことだけれど)、<呆れ半分、怒声半分>って、感情と声を足しても1(全部)にはならないよね? あ、いま気づいたけれど、言葉の繰り返しも多いかも。別に<怒声半分>と言わなくても、<「早くしろよ! 乗り遅れちまうぞ!」>という台詞(感嘆符2個付き)で「怒ってる?」とは思うし、<呆れ半分、~>/<呆れるように言った~>とか、<駆け込んでくる>/<車内へ駆け込んだ~>とか、けっこう頭痛が痛い系の文章…? あと、全体的に<十五時五十九分>みたいな、細かすぎてどうでもいい(と私には思える)情報も多いかも。そもそも、私は漫画家を目指しているわけではないので、その関係の微細な話(技術論など)も、個人的には要らない。
なんだかどうでもいい細かい文句ばかり書いてしまったけれど(もちろん全否定したいわけでもないし)、えーと、繰り返しておけば、漫画家志望の人が読むと、けっこう面白くてためになるような小説かもしれない(あ、いや、ほんとのところ、私にはよくわからないけれど)。
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