おかもと（仮） 『しずまれ！俺の左腕』

このライトノベルがすごい！文庫、2012.6。あまり期待していなかった（平均的な期待度くらいしかなかった）けれど、わりと普通に面白かったです。文章もストーリーもシンプルな（あっさりめな）感じはするけれど。笑えるところもけっこうあったっけかな（走り込み万能主義とか。あ、同級生の川尻さんにはもう１回くらい、マッサージしてあげてほしい（笑））。

　＜善良なリア充である高校２年生の篠中紳士は、ある日謎の飛来物と衝突、異世界の魔王に憑依されてしまう！　紳士の左腕を乗っ取った魔王は、その恐るべき力を用いて……ネトゲ三昧!?　「くくく、携帯をよこせ！まとめサイトを見るのだ！」「やめろ魔王！くっ、しずまれ僕の左腕……！」リア充から一転、邪気眼へとクラスチェンジしてしまった紳士の運命は!?／『伝説兄妹！』のおかもと（仮）が贈る、笑いと感動の庶民派ラブコメディ、いよいよ開幕！＞（表紙カバー）

悲劇（一応）が起こるのは17歳の誕生日、「魔王」は女性キャラ（言わなくてもそのほうがふつうか、いまどきのライトノベルでは）。書名では「俺」だけれど、本文では「僕」。この主人公、苦悩したりはしているけれど、運命を受け入れるのがけっこう早い？　そう、あとで好きになった相手に対して、素直に告白もしている。ちょっとびっくり（お互いに素直になれない、みたいなのがラブコメの鉄則では？）。どうでもいいけれど、ラノベを何冊か続けて読んでいると、遊園地デートがよく出てくるけれど、この作品では動物園――別に楽しければ場所はどこでもいいか（汗）。

「僕」（＆魔王）の前に、魔王を倒そうと「勇者」が登場してくる。赤井川兎さん。なんと予備校に通う浪人生。受験生が地球のために戦っている場合か！　勉強をしないと！　…あ、違うか、地球を救ってくれたほうがいいのか（汗）。お下げ髪で、分厚いメガネをかけている…のは、勉強のしすぎだからではなくて、高校時代に図書委員だったらしく、その方面の関係？（本の読みすぎ？）。彼女とのバトル中、「僕」は魔王の「邪眼」を借りて、赤井川さんの心を読むことに。遊んでいた友人は合格して、真面目に勉強だけしていた自分は落ちて、みたいな…。ま、小説・現実問わず、よくある高校生プチ悲劇かな。お父さんは亡くなっていて、クリーニング屋で働くお母さんと２人暮し…。お母さんはパート従業員？　蓄えがなければ、予備校代（授業料）を出すだけでもかなり大変な家庭かもしれない（うーん…）。「僕」は、＜「赤井川さん、今日は予備校行かなくていいんですか？」＞はじめ、浪人生に対して心理攻撃をしているけれど、人のことは言えるのか？　異世界の王にとりつかれて、なかなか落ち着けない高校生――ちゃんと勉強しないと明日の我が身かもしれないぞ（？）。