先月(2012年11月)の話、何か明るくて楽しい小説が読みたいと思って、柚木麻子『私にふさわしいホテル』(扶桑社、2012.10)を買って来て読む。アンソロジー『文芸あねもね』(の文庫版、新潮文庫、2012.3/親本は2011年に電子書籍で)に収録されている表題部分(第一話)を少し前に読んだことがあったのだけれど、――要するにつまらない小説を読みたくなくて(最近あまりにハズレ小説ばかり読んでいたせいか)もう安全策に走ってしまったよ(汗)。で、ふつうに面白かったです。楽しく読めた。不運な新人女性作家がハッタリなどでのしあがっていく…みたいな話。そう、作家の朝井リョウが登場してきてちょっとびっくり(書評家・豊﨑由美による帯の文句がもじりであることに気づいた…遅いか)。本人は本当にこんなキャラクターなのかな?(信じてしまうけれど、いい?)。どうでもいいけれど、いちおう“浪人生”がらみの発言も2ヶ所ある。<汗くさい予備校生達におしまくられながら中央線快速に揺られてきた>(p.15、夏で場所が御茶ノ水だから)、<[有森樹李は]暗く落ち着いた店内にはまるでそぐわず、雪の日の浪人生のように見えた>(p.118)。どちらもネガティブなイメージかな…。ちなみに「第四話 私にふさわしい聖夜」(全6話中)は、クリスマス・ストーリーです(いや、いまそんな季節だから)。
書いておこうと思って忘れていたけれど、以前(3年くらい前)、豊島ミホの短篇集『夏が僕を抱く』(祥伝社、2009.7/祥伝社文庫、2012.7)に収録されている「遠回りもまだ途中」(これも一応クリスマス・ストーリー)を読んで、感想(というかコメントというか)を書いたときに、自分、<(略)将チン先輩の過去に何があったかはちょっと気になったかな>とか言っていて。だから、それがわかる『文芸あねもね』所収の「真智の火のゆくえ」を読まないわけにはいかなくて。いや、別にいやいや読んだわけではないけれど。で、なんていうか、面白かったというか、深かったです。“心の闇”が描かれている…と言うと安っぽく(ワイドショーっぽく?)なってしまうかもしれないけれど、でも、そういう感じ。闇つながり(?)竹宮ゆゆこ『ゴールデンタイム外伝 二次元くんスペシャル』(電撃文庫、2012.6)を読んだあとくらいに読んだような気もする(逆だったような気もする。…前後関係の記憶があいまい(涙))。そう、『夏が僕を抱く』の文庫版の解説を作家の綿矢りさが書いていて、「遠回りもまだ途中」(と表題作)に触れている。「あたし」(有里)の幼なじみを「岬くん」と君付けして呼んでいるのだけれど、有里&岬は『蹴りたい背中』のハツ&にな川とちょっと重なるのかな?(ぜんぜん違うか)。そういえば、綿矢りさって以前、何か文芸誌に山田詠美『タイニーストーリーズ』(文藝春秋、2010)の書評も書いていたような気がする。読み逃してしまったな…(いまさら読みたくなってきた)。
以前(といっても、わりと最近かな、1、2ヶ月くらい前)、「読書メーター」の山本幸久『失恋延長戦』(祥伝社、2010.3)に対するコメントを読んでいたら、それが越谷オサム「ゴンとナナ」(短篇集『金曜のバカ』角川書店、2010.1/角川文庫、2012.11所収)に似ているとおっしゃっている方(複数)がいて――文庫化されたので、買って来て読んでみたのだけれど、これが、なんとなく予想していたよりも似ていて、ちょっとびっくり(汗)。主人公が高校生の女の子で、海辺(砂浜)で柴犬を散歩させていたり…。でも、まぁ類似性は措いておいて(似たような小説がたくさんあったほうが嬉しい人もいるだろうし)、ちょっとネタばれしてしまうかもしれないけれど、思うに、この1篇のキーワードは「バカ」よりも「金」のほうかな? 「ゴン」は「黄金(おうごん)」の「ごん」? あと、最近になってやっと山本幸久「ネコ・ノ・デコ」(アンソロジー『LOVE or LIKE』祥伝社、2006/祥伝社文庫、2008所収)も読む。米村真弓子、28歳。――面白かったけれど(ちょっと短くも感じたけれど)、設定がだいぶ違っていて、20歳で終わっている『失恋延長戦』の延長線上にある話だとはちょっと思いにくい(涙)。
これもネットで知ったのだけれど、1977年~の予備校生&仙台市小説な熊谷達也『モラトリアムな季節』(光文社、2010.3/光文社文庫、2012.10)と、最近、文庫化されたらしい『オヤジ・エイジ・ロックンロール』(実業之日本社文庫、2012.12)とは、微妙に繋がっているの? 内容はどうであれ、いまいち読む気がしない、熊谷達也…。そういえば、『モラトリアム~』の続編というか、後日談がいま(2012年12月です)連載中っぽい(『小説宝石』で、タイトルは「リアスの子」だっけな)。『モラトリアム~』自体、『七夕しぐれ』(いまだに読みかけ)の後日談だけれど。あまり関係ないけれど(この話は以前にも書いたっけ…、あー、記憶があいまい(涙))、『1日で1323語 暗記受験英単語』([あこがれ共同隊]代表・粟野邦夫、大和書房、1983)という受験生向けの英単語語呂合わせ本を、私はたまたま持っていて。もともと1977年に自費出版されたもので、前身は、前年の1976年に仙台の同じ高校卒の予備校生たち7人(=<ライ麦畑クラブ>)が『でる単』を覚えるために作ったノートであるらしい。手もとにあるのは第16刷(1989年)で、後ろに姉妹本の広告が載っているのだけれど、英単語計2冊、英熟語1冊、日本史、世界史各1冊のほかに『みんなで楽しむ浪人時代』という本も出ているようだ。持っていないのでわからないけれど、1970年代後半(~1980年代)の“予備校文化”みたいなものも知れるのかな?
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ぜんぜん関係ないけれど、最近、読んだ小説は、ずばり(?)三上延『ビブリア古書堂の事件手帖 ~栞子さんと奇妙な客人たち~』(メディアワークス文庫、2011.3)です。――話題になっている小説の1巻目。最近の自分がいかに安全策に走っているかがわかる(汗)。でも、期待してしまったせいか、読んでみたら意外とふつうだったかな…。野村美月“文学少女”シリーズ(ファミ通文庫)とちょっと似ている…といえば似ているかもしれない。設定が逆っぽいな、と思うことがいくつかあった。語り手は“文学少女”が元覆面作家な高校生であるのに対して、“ビブリア古書堂”のほうは本がほとんど読めない大学を卒業したばかりの就活生(就職浪人?)…。文芸部の部室に対して病室…って、逆になっているわけではないか(汗)。でも、ヒロイン(事件解決担当)の胸のサイズは反対――というか、書評(ネット以外)のたぐいを読むと、店主の篠川(栞子)さんの胸について触れている人が多いのは、なぜ?(読んでみないとわからないけれど、もしかして2巻目以降、巨乳ネタが増量されているとか? そう、最近、竹宮ゆゆこ『とらドラ!』シリーズ(電撃文庫)もぽつぽつと読んでいて(やっと5冊読了、あと8冊)、個人的にはそんなに胸がらみのネタはいらない(汗))。
あと、この前(今月の話)それほど寄らない本屋に寄ったときに、山本幸久『愛は苦手』(新潮社、2010.1/新潮文庫、2012.10)の文庫版のほうを見かけて、欲しくなって買ってしまって。いま読書中です(最後まで読み通せるかどうかわからないけれど)。アラフォー(40歳前後)の女性が主人公になっている、短篇9篇。カバー後ろに書かれている文句を見てもわからないけれど(大島真寿美による「解説」でも触れられていないっぽいし、最後まで=全篇を読んでみないとわからないけれど)、これはもしかして“家電小説集”なの?(「カテイノキキ」は家庭の機器?)。…とか思ってしまったが最後(?)、また(以前、伊井直行『会社員とは何者か?』を読んだときと同じく)長嶋有『電化文学列伝』(講談社文庫)を取り出して、ぱらぱらと読み返したり、――いったい何をやっているんだろう、自分は(汗)。好みがうるさい(?)長嶋有のお気に召す作品(集)かどうか私にはわからないけれど、1篇目から順にいうと、ミシン、食洗機、ズボンプレッサー、…といったものが出てくる。
書いておこうと思って忘れていたけれど、以前(3年くらい前)、豊島ミホの短篇集『夏が僕を抱く』(祥伝社、2009.7/祥伝社文庫、2012.7)に収録されている「遠回りもまだ途中」(これも一応クリスマス・ストーリー)を読んで、感想(というかコメントというか)を書いたときに、自分、<(略)将チン先輩の過去に何があったかはちょっと気になったかな>とか言っていて。だから、それがわかる『文芸あねもね』所収の「真智の火のゆくえ」を読まないわけにはいかなくて。いや、別にいやいや読んだわけではないけれど。で、なんていうか、面白かったというか、深かったです。“心の闇”が描かれている…と言うと安っぽく(ワイドショーっぽく?)なってしまうかもしれないけれど、でも、そういう感じ。闇つながり(?)竹宮ゆゆこ『ゴールデンタイム外伝 二次元くんスペシャル』(電撃文庫、2012.6)を読んだあとくらいに読んだような気もする(逆だったような気もする。…前後関係の記憶があいまい(涙))。そう、『夏が僕を抱く』の文庫版の解説を作家の綿矢りさが書いていて、「遠回りもまだ途中」(と表題作)に触れている。「あたし」(有里)の幼なじみを「岬くん」と君付けして呼んでいるのだけれど、有里&岬は『蹴りたい背中』のハツ&にな川とちょっと重なるのかな?(ぜんぜん違うか)。そういえば、綿矢りさって以前、何か文芸誌に山田詠美『タイニーストーリーズ』(文藝春秋、2010)の書評も書いていたような気がする。読み逃してしまったな…(いまさら読みたくなってきた)。
以前(といっても、わりと最近かな、1、2ヶ月くらい前)、「読書メーター」の山本幸久『失恋延長戦』(祥伝社、2010.3)に対するコメントを読んでいたら、それが越谷オサム「ゴンとナナ」(短篇集『金曜のバカ』角川書店、2010.1/角川文庫、2012.11所収)に似ているとおっしゃっている方(複数)がいて――文庫化されたので、買って来て読んでみたのだけれど、これが、なんとなく予想していたよりも似ていて、ちょっとびっくり(汗)。主人公が高校生の女の子で、海辺(砂浜)で柴犬を散歩させていたり…。でも、まぁ類似性は措いておいて(似たような小説がたくさんあったほうが嬉しい人もいるだろうし)、ちょっとネタばれしてしまうかもしれないけれど、思うに、この1篇のキーワードは「バカ」よりも「金」のほうかな? 「ゴン」は「黄金(おうごん)」の「ごん」? あと、最近になってやっと山本幸久「ネコ・ノ・デコ」(アンソロジー『LOVE or LIKE』祥伝社、2006/祥伝社文庫、2008所収)も読む。米村真弓子、28歳。――面白かったけれど(ちょっと短くも感じたけれど)、設定がだいぶ違っていて、20歳で終わっている『失恋延長戦』の延長線上にある話だとはちょっと思いにくい(涙)。
これもネットで知ったのだけれど、1977年~の予備校生&仙台市小説な熊谷達也『モラトリアムな季節』(光文社、2010.3/光文社文庫、2012.10)と、最近、文庫化されたらしい『オヤジ・エイジ・ロックンロール』(実業之日本社文庫、2012.12)とは、微妙に繋がっているの? 内容はどうであれ、いまいち読む気がしない、熊谷達也…。そういえば、『モラトリアム~』の続編というか、後日談がいま(2012年12月です)連載中っぽい(『小説宝石』で、タイトルは「リアスの子」だっけな)。『モラトリアム~』自体、『七夕しぐれ』(いまだに読みかけ)の後日談だけれど。あまり関係ないけれど(この話は以前にも書いたっけ…、あー、記憶があいまい(涙))、『1日で1323語 暗記受験英単語』([あこがれ共同隊]代表・粟野邦夫、大和書房、1983)という受験生向けの英単語語呂合わせ本を、私はたまたま持っていて。もともと1977年に自費出版されたもので、前身は、前年の1976年に仙台の同じ高校卒の予備校生たち7人(=<ライ麦畑クラブ>)が『でる単』を覚えるために作ったノートであるらしい。手もとにあるのは第16刷(1989年)で、後ろに姉妹本の広告が載っているのだけれど、英単語計2冊、英熟語1冊、日本史、世界史各1冊のほかに『みんなで楽しむ浪人時代』という本も出ているようだ。持っていないのでわからないけれど、1970年代後半(~1980年代)の“予備校文化”みたいなものも知れるのかな?
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ぜんぜん関係ないけれど、最近、読んだ小説は、ずばり(?)三上延『ビブリア古書堂の事件手帖 ~栞子さんと奇妙な客人たち~』(メディアワークス文庫、2011.3)です。――話題になっている小説の1巻目。最近の自分がいかに安全策に走っているかがわかる(汗)。でも、期待してしまったせいか、読んでみたら意外とふつうだったかな…。野村美月“文学少女”シリーズ(ファミ通文庫)とちょっと似ている…といえば似ているかもしれない。設定が逆っぽいな、と思うことがいくつかあった。語り手は“文学少女”が元覆面作家な高校生であるのに対して、“ビブリア古書堂”のほうは本がほとんど読めない大学を卒業したばかりの就活生(就職浪人?)…。文芸部の部室に対して病室…って、逆になっているわけではないか(汗)。でも、ヒロイン(事件解決担当)の胸のサイズは反対――というか、書評(ネット以外)のたぐいを読むと、店主の篠川(栞子)さんの胸について触れている人が多いのは、なぜ?(読んでみないとわからないけれど、もしかして2巻目以降、巨乳ネタが増量されているとか? そう、最近、竹宮ゆゆこ『とらドラ!』シリーズ(電撃文庫)もぽつぽつと読んでいて(やっと5冊読了、あと8冊)、個人的にはそんなに胸がらみのネタはいらない(汗))。
あと、この前(今月の話)それほど寄らない本屋に寄ったときに、山本幸久『愛は苦手』(新潮社、2010.1/新潮文庫、2012.10)の文庫版のほうを見かけて、欲しくなって買ってしまって。いま読書中です(最後まで読み通せるかどうかわからないけれど)。アラフォー(40歳前後)の女性が主人公になっている、短篇9篇。カバー後ろに書かれている文句を見てもわからないけれど(大島真寿美による「解説」でも触れられていないっぽいし、最後まで=全篇を読んでみないとわからないけれど)、これはもしかして“家電小説集”なの?(「カテイノキキ」は家庭の機器?)。…とか思ってしまったが最後(?)、また(以前、伊井直行『会社員とは何者か?』を読んだときと同じく)長嶋有『電化文学列伝』(講談社文庫)を取り出して、ぱらぱらと読み返したり、――いったい何をやっているんだろう、自分は(汗)。好みがうるさい(?)長嶋有のお気に召す作品(集)かどうか私にはわからないけれど、1篇目から順にいうと、ミシン、食洗機、ズボンプレッサー、…といったものが出てくる。
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