ベネッセコーポレーション、1995。いま手もとにあるのは図書館本(探してはみたけれど、例によって地元ブッ●オフでは無理、見つからない)。奥付の前のページによれば、初出は『海燕』1993年11月号~1994年12月号らしい。読んでいて意外と面白かったです。ちょっといい小説?(少し既視感もあったなぁ…、何か以前読んだ小説に似ているのかも)。内容的にはひと言でいえば、ゆるめの“青春(群像)小説”かな。恋愛要素もありで、自分探し(私って?)みたいな部分も大きい。すごく明るい小説というわけではないけれど、暗い感じの小説でもなくて(主人公にとって辛いことは起こっているけれど)、微妙にユーモアもある感じだったかな…。そう、意外と“剣道小説”でもあったっけか。えーと、その前に1人称小説で、最初から最後まで「わたし」の目線で書かれている小説です。小さいころの話から始まって、最後は30歳くらい(31歳?)になっているけれど、いちばんページが割かれているのは大学生のときの話。平凡な(?)1人の女の子/女性の成長物語は、でも、こんな感じなのかな? 30歳くらいの時点での、過去の男性のとの交際歴とか、――ちょっと少なめ?(人のことはぜんぜん言えないな、自分。もてないです(涙)。別に自分を抑えているわけでもないし)。

上京してR大に入学した「わたし」(=高岡万里、下の名前「まさと」は「ま」ではなく「さ」を強く読む)は、大学で声をかけられてコンパに参加。そこで(当初はまったく思い出せないのだけれど)同じ高校の同級生だったと言う藤原たまき(R大の隣の系列校・R短大に通う)と知り合う。さらに「わたし」に声をかけてきた相手・五十嵐嗣巳(つぐみ、R大生)と言葉を交わしていて、彼の高校時代の友人が「わたし」の小・中学校のときの友達というか、重要な人物というかの田辺幹男であることがわかる。田辺の家(というかマンションの一室)は息子を残して、両親が仕事の関係で引っ越していて、たまり場のようになっている(ちょっと都合がいい感じ?)。すでに出入りしていた嗣巳の案内で、「わたし」とたまきも一度そこを訪れて以降、頻繁に入り浸るようになる(学生とかならありがちな?)。田辺は親たちや親戚には浪人生を装っているけれど、すでにゲーム・クリエイターのような仕事もしていて、収入を得たりもしている。ほとんど家からは出ず(出かけるのが嫌い)、24時間ではなくて30時間のサイクルで生活をしている(ふつうの人の5日が4日に)。書名の「001」は『サイボーグ007』(私は見たことがないんだけれど)に出てくる赤ん坊のことだそうで、「わたし」は田辺に対してその言葉を当てている。「ゆりかご」は(最後の場面が関係している感じだけれど、とりあえずもっと広めに)田辺んちのこと? ――なんていうか、大学生4人4様な感じです。あ、あと「わたし」の中学・高校の剣道部の2つ上の先輩(兄貴と同級生)の君津先輩が出てくる。というか、「わたし」は(剣道じたいはやめているけれど、たまきに誘われて)剣道の大会を見に行って、そこで別の大学に通う(のちに大学院生になる)君津さんと再会して、なんだかんだで付き合い始める。あ、その前に「わたし」は嗣巳とも付き合っている。

“偽装浪人”はやっぱり(?)結局のところ、親(というか、まずはお母さんに)ばれている。でも、最終的に(ちょっとネタバレになってしまうかもしれないけれど)田辺くん、2浪(というか)の後、なんと一芸入試で大学(O大)に合格している。「一芸」はもちろん(?)ゲーム。たまたま面接官の1人が息子が、田辺が作った(大きくかかわった)ゲームをしていて先に進めなくて困っている、みたいな話で――ほんとラッキーだな(汗)。ところで、一芸入試っていまもちゃんとあるのかな? 導入された当初は、けっこう騒がれていた気がするけれど、最近あまり聞かないような…。あ、いや、私は大学受験に詳しいわけではない(むしろ疎い)から、知らないけれど。一芸入試、浪人生でも(現役受験生でなくても)何か一芸があれば、ちゃんと合格できるのかな? ちなみに、軟派なというか、ちょっと軽い感じの性格の嗣巳は、大学4年から司法試験を受け始めている。いわゆる司法浪人に。最後の場面は――ま、読んでいただくとして。31歳の4人が田辺家で再会している。
 

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