☆読書メモ。

2013年4月14日 読書
この前、本屋に行ったときに有栖川有栖編『小説乃湯 お風呂小説アンソロジー』(角川文庫、2013.3)という文庫本を見かけて、思わず購入してしまった(汗)。別にお風呂好きというわけではないけれど。というか、まだ1編(真ん中へんに収録されている某作家の作品)しか読んでいない。なんていうか、隙をつかれたというか、個人的に“お風呂”って意外と盲点だったかもしれない。入浴シーンとかが印象的な小説――ぜんぜん思い出せないな、個人的には。

考えてみれば、「フロ」というのは「メシ」と「ネル」と並んで、世のお父さんたち(といっても昭和か)が使える三大語彙の1つだから、――いいかげんなことを書いているとまた誰かから怒られるかな…(すみません)。でも(?)、昔からアンソロジー(選集)っていろいろな種類のものが出ていて、けっこう自由な(好き勝手な?)感じがする。えーと、でも、アンソロジーにかぎらなければ、最近の“ご飯もの”なら平野芳信『食べる日本近現代文学史』(光文社新書、2013.2)とか、もちろん小説も取りあげられている木村衣有子『もの食う本』(ちくま文庫、2011.12)とか、“睡眠”関係――はあまりないかもしれないけれど、例えば、今はなき文芸誌『monkey business(モンキービジネス)』(ヴィレッジブックス)のvol.2(2008 Summer、眠り号)に「眠り文学50選」(小澤英実・大和田俊之・都甲幸治・柴田元幸)というのが載っていたりする。(新書の『食べる日本近現代文学史』は「文学史」といっても、けっこうエッセイ(集)という感じ。読んでいて、個人的には著者に好感が持てる。あと、最近のアンソロジーなら、私は持っていないけれど、『麺’sミステリー倶楽部』(光文社文庫)なんていうのも出ていたりする。麺類&ミステリー。…やっぱりアンソロジーはわりと自由な感じ?)

話を戻して、でも(?)お湯に長く浸かりすぎて頭がのぼせているのか、選者(編者)によるまえがきには、

 <もとよりお風呂小説というジャンルが確立しているわけではありませんから、(略)>(p.8)

という、ぬるま湯的な(?)発言が見られる。なんていうか、自分で言い出しておいて、ぜんぜん気合いが足りていないような?(よくわからないけれど)。他人事として言っているようにも感じるし。(自分が死ぬまでにはどうしても、究極の名作お風呂小説のアンソロジー、ベスト・オブ・ベストを! みたいなことはまったく考えていない模様。そう、この本、編者じしんが小説家なのに自作の小説が1つも収録されていない。)例えば、最近たまたま読んでいたライトノベル、野村美月『ドレスな僕が~3』(ファミ通文庫、2013.4)に、次のような箇所がある。

 <アニスは朝からハイテンションで、/「いよいよこの日[=同人誌の即売会の日]が来たわ! ヘル×シザをこの先十年覇権ジャンルとして確立するべく、闘ってくるわ!」/と勇ましく宣言し、徹夜で作成した限定三十部の短編冊子を背中にしょって、出かけたのだった。>(p.139、[  ]は引用者補足)

「ヘル×シザ」が何を指すかは措いておいて(国民的有名人がモデルのBL小説だけれど(汗))、これくらいのやる気がほしいよね。気合いとか、やる気の問題ではないかもしないけれど(汗)。というか、ぜんぜん人のことが言えないや…、最近、何もかもやる気がしない(涙)。私、ダメ人間です。私のことはともかく。えーと、それで、だから(?)どうすればいいのかというと、まず、「本格(ミステリ)」を定義するのと同じくらいの真剣さで「お風呂小説」なるものを定義して(もちろんあとで修正したりするのはOK)、そしてそのあとは――読者を増やさないといけないんだよね、1ジャンルとして確立するには。

 <しかし仮に「テトラポットが自由意志を持って動き回るような小説が読みたい」という《好み》を持った読者がいたとしても、その《好み》に応えるようなジャンルは(少なくとも今のところは)存在しない。あまりにも個的な《好み》はジャンルを生み出し得ないのだ。つまりジャンルが成り立つためには、一定量の読者数(需要)が必要なのである。/逆に言えば、(略)>

市川尚吾「ジャンル原論」(『本格ミステリこれがベストだ!2003』創元推理文庫)より。臼(うす)が喋ったり歩いたり、家の屋根にのぼったりする話はあるけれど(あ、メイド・オブ石ではなくて木かな)、――そういえば(思い出した)、私は持っていないけれど、『怪獣文学大全』というアンソロジーがなかったっけ?(河出文庫?)、…それはともかく、要するにだから「布教」しないといけない、「これ面白いですよ!」とかなんとか。「それ面白かったですか? なら、ほかにもこんなのが…」とか、「旦那、なんなら、アンソロ本もありまっせ」とか。「お風呂(小説)」なら老若男女に受け入れられそうだし、「テトラポット(小説)」や「臼(文学)」よりはジャンルの成立が容易ではないかと思う。嗜好(好み)的にラッキーだよね(?)。

本当はあと、隣接するジャンル(候補)やかぶっているジャンル(候補)との異同も述べて(「お風呂小説」なら例えば「温泉小説」と)、差別化したりもしないといけないかもしれないけれど、…まぁどうでもいいや(他人事発言(汗))。――成り行きまかせでごちゃごちゃと書いてしまったけれど(毎度のことだけれど)、別に有栖川有栖が嫌いなわけではないです。あと、需要の少ない「なんとか小説」「かんとか文学」の出現に歯止めをかけたいわけではなくて、個人的にはむしろあれこれと増えてほしい、かな(汗)。
 

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