読書メモ。

2014年1月8日 読書
過去の書き込みへの補足です。ずっと書こうと思っていて忘れていた。作家・大江健三郎(1935年早生まれ)の大学受験に関して。大江氏は1浪(上京して予備校)して、1954年に東大文二に入学しているらしいけれど、講演録集『あいまいな日本の私』(岩波新書、1995.1)には、現役受験のことが書かれている。

〈(略)物理の問題が四問あって、私は一問しかできなかった。そこで、もうダメだと思った。物理と地学を二問ずつ解いて、幾何と解析Ⅰを二問ずつ解けば、まあ文科系の答案はちゃんと書けますから、入れると思ってました。ところが物理の問題が一問しかできなかったものですから、諦めましてね、家に帰ったんです。母と兄から大切なお金をもらっているわけで、倹約しようと思って、翌日は英語の試験だったんですが、四国にへ帰りました。/〉(pp.99-100)

話し言葉は引用すると、どうしても長くなってしまうな。すみません。文系なのに物理を選択、文系科目が得意なのに英語を残して帰郷ー。ところで、塚本康彦『受験番号5111 東大受験生の赤裸な日記』(カッパ・ブックス、1963.3)という日記本がある(持ってはいなくて、私が読んだのは図書館の本)。1933年生まれの著者による、浪人時期を中心とした「青春日記」なのだけれど、この人は1浪して、1953年に東大文科二類を受験して合格している。で、この年は大江氏の現役受験と同じ年のはずーなのだけれど、読んでみると(3月5日のところにまとめて書かれている)、英語の試験は(2次試験の)3日間のうちの第2日目、理科の試験は最終日にあったようだ。ーなんだろう、私がどこか考え違いをしている?(うーん)。あ、大江氏が現役のときに受験したのが「文二」ではない可能性もある?(違うか。というか「文一」と「文二」と「文三」で試験科目の順番が違うなんてことがある?)。ー上の引用は次のように続いている。

〈そして、私は落ちましたけれども、『蛍雪時代』という雑誌を読んだらば、今年の東大は物理がむずかしかったので、一問解ければまあまあ、と書いてあった。「物理ができなかったので帰ってきたんですけど」と私は弁解しました。すると兄が怒りました。/(略)〉(p.100) 

なんだろう、大学には受からなかったけれど、学力(勉強、能力)が足りなかったわけではない、みたいな?(ま、形は違えど、ありがちな言い訳かな)。あ、塚本氏は、理科は生物と化学を選んで解いているので、物理の難易度に関してはわからない。何で読んだか忘れてしまったけれど、この年の東大の物理の入試問題は、解いてみると本当に難しい、という話もある(あったと思う)。

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