読書メモ。

2015年10月27日 読書
(読了)
群ようこ「ハイヒールで全力疾走」
『無印OL物語』(角川書店、1989/角川文庫、1991)所収、12篇中の3篇目。『猫と女たち』(ポプラ文庫、2009)にも収録されているようだ。予備校生の「僕」(ケン、苗字はムラタ)が5つ歳上の姉(レイコ、電気メーカーに勤めていて重役秘書をしている)について語っている。弟の目に映る姉の姿と、会社の人などに見えている(だろう)姉の姿のと違い。

永倉万治「火吹き男」
図書館本『移動遊園地』(中央公論社、1993)所収、7篇中の5篇目。初出は『小説中公』1993年1月号らしい。これは意外と当たりだったかも。表面的には主人公(陽子)が新宿の歩行者天国をふらふらするだけの話かもしれないけれど(タイトルは大道芸人のこと)、予備校生の不安というかが伝わってくる。家族には話ができない(聞いてくれない)、予備校でよく話をしていた友達は急に学校に来なくなってしまう...。で、街で同じようにふらふらしている(?)少年や少女と出会って、みたいな話。

佐藤洋二郎「冬虫」
図書館本『夢の扉』(集英社、1996.7)所収、4篇中の4篇目。連作らしいけれど(ネット情報)この1篇しか読んでないです。初出は『すばる』1995年12月号らしい。なんていうか、よくある“ぶらぶらしている叔父さんモノ”というか。でも、ちょっと違うかな。読んでいてピンとは来なかったけれど、漠然と幸せってなんだろう? とか思ったりした(雑な感想? すみません(泣))。久しぶりに叔父の龍尚(正式な読み方は「たつなお」)から電話があって、引っ越したので遊びに来ないかと言われ、宗輝が千葉に出掛けていくと、そこには銀座で働いているという女性(野島郁子)がいて。宗輝は小学生のとき夏休みなどに山陰の祖母の家によく遊びに行っていて、あるとき、龍尚叔父(祖母の家は叔父にとっては生家)と一緒に近くにある家(遠い親戚)に行ってそこに泊まったことがある。祖母が嫌っている(?)その家には、母親と娘が暮らしていて、そのときには母親が出掛けていて留守で、娘(山本泉)だけがいてーーという思い出が回想されたりする。というか、私にはうまくまとめられないです(すみません)。で、けっこう読まないとわからないけれど、宗輝くんはどうも予備校に通っているらしい。で、どうなんだろう、浪人生っぽい感じはするけれど、現役受験生の可能性も残っているかな。。最後、御茶ノ水の駅前のスクランブル交差点で、偶然、龍尚叔父を見かけて、お茶をしながら近況などを話して終わっている。(佐藤洋二郎は検索してみると、『父の恋人』(ベネッセコーポレーション、1996.11)と『腹の蟲』(講談社、2010.8)に浪人生(の息子)が出てくるみたいだけれど、前者は、図書館で借りてぱらぱらと見てみたのだけれど、浪人生かどうかよくわからず、後者はいつも行く図書館には置いてなくて未確認です。どちらも連作短篇集らしい。)

多岐川恭「ご一緒にどうぞ」
図書館本『東経一九三度線 日本推理作家協会編ベストミステリー1』(カッパノベルス、1974)で読んだ。文庫は『裏切りのパレード』という書名らしい。初出は『増刊 小説CLUB』1972年11月号らしい。単行本(著者の単著)にも収録されているようだ(ネット調べ)。死のうと思っている若い男女(竜介とあけみ)が死ぬ前にそれぞれ憎んでいる相手(塩田、糸川)を殺してから死のう、みたいなことで、殺そうとするのだけれど、うまくいかなくてーみたいな話。最後はこれでハッピーエンド? 話の展開がご都合主義というか、リアリティがあまりないような...。竜介くんは「(略)おれのような高卒の浪人にだって、(略)」(p.252) と言っているのだけれど、これはなんだろう、大学受験浪人ではなくて、進学も就職もしていないみたいな意味?

(積読本・追加)
・香月日輪『地獄堂霊界通信2』講談社文庫。誰かの弟が?
・横溝正史『病院坂の首縊りの家 下』角川文庫。未確認。
・荻原浩「金魚」『月の上の観覧車』新潮文庫。過去、美大浪人2浪?
・つかこうへい『長嶋茂雄殺人事件』角川文庫。無名の予備校生、キャッチボールを?
・佐伯一麦『ア・ルース・ボーイ』新潮文庫。無名の予備校生、アパートの住人?
・高橋克彦「蛍の女」『星の塔』文春文庫。妹と付き合っている相手、過去の話?
・鷺沢萌「月の砂漠」『海の鳥・空の魚』角川文庫。過去2浪?
・向田邦子「胡桃の部屋」『隣りの女』文春文庫。過去、弟が2浪?

ほとんど「Googleブックス」か「用例.jp」というところで検索して出てきたもの。謎のサイト(?)「用例.jp」で引用元として出てくる本は、みんな電子書籍(というかkindle版)が出ているのかな? いまだに紙の本しか読んでいなくて(しかもネットで買い物はしていないので)、わざわざブックオフその他の古本屋に行って、探してきている感じです(たいてい絶版なので。新刊本屋にはないことが多い)。

短篇くらい早めに読もう(汗)。

(既読)
「無名の浪人生」とか「元浪人生」とか言い出したらいくらでもありそうだけれど(泣)、だいぶ前、綿矢りさ『インストール』(河出書房新社、2001.11/河出文庫、2005.10。文庫版は表題作のほかに短い1篇)は読んだことがある。チャットの相手の1人として、自称浪人生が出てくる(「出て」は来ないか)。ほかには文庫が出たときに読んでみた、森晶麿『花酔いロジック 坂口蝶子の謎と酔理』(角川文庫、2015.5。単行本は『名無しの蝶は、まだ酔わな 戸山大学〈スイ研〉の謎と酔理』角川書店、2013.12)の主人公(大学1年生、蝶子)は1年浪人しているらしい。シリーズで、単行本は2巻目も出ている。あと、最近読んだ野村美月『晴追町には、ひまりさんがいる。』(講談社タイガ、2015.10)に出てくる巴崎さんは、2浪しているらしい(大学1年生...ではなくてもう2年生か、大学は「陽南大学」)。
 

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