ここ8ヶ月くらいの間に読んだものです(8ヶ月でこれしか! 少なすぎる...(泣))。※ネタバレになっているものもあるので(設定やストーリーを説明してしまっているものもあるので)以下、ご注意ください。あ、ちゃんとした感想ではなくてメモみたいなものです。
向田邦子「胡桃の部屋」
『隣りの女』(文藝春秋、1981.10/文春文庫、1984.1)所収、5篇中の3篇目。初出は『オール讀物』1981年3月号。お姉ちゃん(三田村桃子)が孤軍奮闘という感じで、可哀想になってくる。3年前のある日、お父さんが突然、失踪。実は会社が倒産していて、あとで女性と暮らしていることも判明する。弟の研太郎はその時点で2浪中(妹は高校生)。事情が変わったんだから、働いているお姉ちゃんが弟の学費を出すよりも、弟が働き始めたほうがいいような気もするけど、うーん...。
鷺沢萌「月の砂漠」
『海の鳥・空の魚』(角川書店、1990.1/角川文庫、1992.11)所収、20篇中の11篇目。短篇というか掌篇かな。手元の文庫版には初出は書かれていない。2浪しても本命の大学に受からず(予備校講師も不思議がるほど)、両親のこともあって(母親は疲れている様子で、父親からは半ば命令があって)辛うじてひっかかった滑り止めの中堅私大に。ネタバレしてしまうけど、省介は大学のサークルの飲み会で、酔った部長の服部(同い年)から浪人がらみのことで絡まれて、結果、突き飛ばしてしまう。ーなんとなく古い感じもするけど、ちょっとお薦めかな。(あ、この主人公とは違うけど、私自身も2浪していて、入れる大学に入った口だから(汗)。そう、大学における現役合格者と浪人経験者の年齢差の問題(?)が描かれている小説ってあまりないよね。もっとあってもいいと思う。)
鎌田敏夫『恋しても』
角川文庫、1991.12。単行本は『昼も夜も』(角川書店、1990.11)。解説(郷原宏)によれば映画『どっちもどっち』の原作とのこと。分量も少なくて軽く読める小説かな。でも、意外と面白かったです。
<生きている間にした事はダイエットだけ、男と食べ物に未練を残して死んだ、若いお化けの亜由子。彼女の部屋に越してきた、浮気なくせに一途な男、正道。二人のおかしな共同生活が始まった。/お調子者の正道は、どこをどう間違ったのか、超堅物の慶子に惚れなおし、彼女のために女断ち。/ところが亜由子が、そうはさせじと(略)>(「お化け」、「超」に傍点。表紙カバー折り返しより)
正道はテレビ局に勤めるディレクターで、スポーツ中継を担当している。バブル期の話というか。天然でモテる感じです。それはともかく、亜由子が亡くなったのは1年前で、ごみ出し中に浪人生の飛び降り自殺(理由は不明)に巻き込まれてーーという設定になっている。でも、その浪人生に対する怨み言はぜんぜん語られていない。浪人生のほうは全治1ヶ月だったらしいけど、ーーもう大学受験どころではない?(そんなこともないかな...)。あと、亡くなった女性に対しては罪悪感まみれになっているかも?(女性の遺族から責められている、みたいな事態にはなっていない感じだけど。いや、書かれていないのでわからないけど)。
清水義範「背中」
『袖すりあうも多生の縁』(角川書店、1994.7/角川文庫、1997.7)所収、10篇中の最後の1篇。初出は『野性時代』1994年4月号らしい。父と息子の話で、お父さん目線の箇所もあるけど、主人公はやっぱり息子の和則(苗字は阿部)のほうかな。小さい頃から大人になって、働いて自分にも子供ができて、働いて一軒家を持つようになるまで。タイトルの「背中」はお父さんの泰興の。ーー自分もいい歳になっていて(父親はどんどん歳をとってきているし)なんていうか、こういう話がしみじみとしみてくる(作者は何歳のときにこれを書いているのかな? 1947年生まれだから1994マイナス1947で、49歳くらいのときか)。お父さんはいいところの大学(工学部)を出ているけれど、和則は、大学受験は2浪中にドロップアウト。北海道に息抜き旅行に行ってくる、と言って出掛けて、そのまま。働き始めてしまう。
香月日輪『地獄堂霊界通信2』
講談社文庫、2015.9。後ろのほうに<本書は2009年4月、講談社ノベルスとして刊行されました。>(原文漢数字)とあるけれど、もともとポプラ社から出ていたシリーズらしい(初出は1990年代?)。面白いのでこのシリーズ、読んでいきたいです(読んでいるシリーズものがたくさんあって、これ以上増やさないほうがいいんだけど(泣)。しかも、現在どれもこれもほとんど読めていない)。「第一話 幽霊屋敷 その一」に浪人生が一応、出てくる。保健室の先生・如月女医の弟の武郎(たけお)。二日酔いで予備校を休んでいるようでは、あまり勉強はしていない? 高校時代はラグビーをしていたらしい(勉強の絶対量が足りなくて浪人に?)。
荻原浩「金魚」
『月の上の観覧車』(新潮社、2011.5/新潮文庫、2014.3)所収、8篇中の4篇目。奥さんを亡くして、心療内科に通っている主人公(43歳)には同情するけど、小説としてどうなんだろう?(うーん...)。かつて美大を目指していたのは、高校時代に知り合った(のちの)奥さんがきっかけらしい。高校卒業後、上京して予備校に。そのとき「前衛芸術をやっているグループ」と親しくなったと言っている(p.152)。特に志望が美大だとそういうこともあるのかな? 予備校、例えば国立理系志望のクラスならそうしたことはあまりなさそうな?(いや、あるかもしれないけれど。あ、時代にもよるかも)。2浪の末、大学は諦めてデザイン専門学校に進んだらしい。
真坂マサル『アンダーワールドストリートへようこそ ~不運な女の子と呪われたボディガード~』
メディアワークス文庫、2015.10。ネットの感想で途中で挫折したとおっしゃっている方がいたけれど、文章(文体)とか視点の取り方とか、そこまでひどくはないと思う。これくらいなら個人的にはぜんぜん読める。内容は、
<“厄人”たちの集う危険な街へ、ようこそ。/「あなた呪われていますよ」/裏社会通り。日常からほんの一歩道を間違えた場所にあるその街には呪いを抱えた“厄人”たちが集っている。/あまりに不運な自分の身の上を「呪われている」と看破されてしまった四ツ葉つゆるもまた、その街に迷い込んだ。/彼女が出会うのは、(略)>(表紙カバー後ろより)
という感じ。1視点小説ではないけど、主人公はつゆりかな。一応、浪人生らしい。アラブの国の王女と間違われて誘拐されて(不運!)、大学受験ができなかったらしい。
*
たまたまだけど、元2浪ものが多かったかな(そうでもないか。『恋しても』と『地獄堂~2』は不明、『アンダー~』は1浪)。あと、図書館で借りた本で、笹沢左保「神の正体」(『現代の小説 1997』徳間書店、1997.5)というのを読んだけど、「浪人」は関係なかった(Googleブックスで「予備校」で検索して出てきたんだっけな)。
~・ ~・ ~・ ~・ ~・ ~・ ~
[積読本の追加] 浪人生や元浪人生が出てくるかどうかはちゃんと読んでみないとわからないです。
・浅田次郎『活動写冩眞の女』集英社文庫。まったく未読。大学生が元1浪?(時代とか場所とかに惹かれて買ったのかも)。
・五十嵐貴久『誰でもよかった』幻冬舎文庫。被害者の1人が?
・堂場舜一『蝕罪 警視庁失踪課・高城賢吾』中公文庫。過去の話、被害者が予備校生?
・からて「第4話 嘘つきセミと青空」『マカロン大好きな女の子がどうにかこうにか千年生き続けるお話。』MF文庫J。ちゃんと読んでみないとわからないけど、再受験生?
・小池真理子『ふたりの季節』幻冬舎文庫。過去の話、彼氏のほうが。
・戸梶圭太『なぎら☆ツイスター』文春文庫。これはなんで買っちゃったんだろう、よく覚えていない。出ては来ないけれど、誰か登場人物の娘が浪人生だったかも。
・松村栄子『雨にも負けず粗茶一服』上下、ピュアフル文庫。高卒で浪人生のような、そうではないような?
・松本清張「坂道の家」『黒い画集』新潮文庫。出ては来ないのかな、刑事の話に?
あと、純粋な小説ではないけれど、次の2冊も持っている。
・川渕圭一『<小説>東大過去問・現代文』文庫ぎんが堂。シゲル1浪。おじさん元2浪。
・和田秀樹『受験のシンデレラ』小学館文庫。まったく未読、浪人生はあまり関係ないかも。
手に入っていなくても、地元の図書館にある本もあるんだけど、最近ぜんぜん本が読めていなくて...。本というか、文章(文字)が。
向田邦子「胡桃の部屋」
『隣りの女』(文藝春秋、1981.10/文春文庫、1984.1)所収、5篇中の3篇目。初出は『オール讀物』1981年3月号。お姉ちゃん(三田村桃子)が孤軍奮闘という感じで、可哀想になってくる。3年前のある日、お父さんが突然、失踪。実は会社が倒産していて、あとで女性と暮らしていることも判明する。弟の研太郎はその時点で2浪中(妹は高校生)。事情が変わったんだから、働いているお姉ちゃんが弟の学費を出すよりも、弟が働き始めたほうがいいような気もするけど、うーん...。
鷺沢萌「月の砂漠」
『海の鳥・空の魚』(角川書店、1990.1/角川文庫、1992.11)所収、20篇中の11篇目。短篇というか掌篇かな。手元の文庫版には初出は書かれていない。2浪しても本命の大学に受からず(予備校講師も不思議がるほど)、両親のこともあって(母親は疲れている様子で、父親からは半ば命令があって)辛うじてひっかかった滑り止めの中堅私大に。ネタバレしてしまうけど、省介は大学のサークルの飲み会で、酔った部長の服部(同い年)から浪人がらみのことで絡まれて、結果、突き飛ばしてしまう。ーなんとなく古い感じもするけど、ちょっとお薦めかな。(あ、この主人公とは違うけど、私自身も2浪していて、入れる大学に入った口だから(汗)。そう、大学における現役合格者と浪人経験者の年齢差の問題(?)が描かれている小説ってあまりないよね。もっとあってもいいと思う。)
鎌田敏夫『恋しても』
角川文庫、1991.12。単行本は『昼も夜も』(角川書店、1990.11)。解説(郷原宏)によれば映画『どっちもどっち』の原作とのこと。分量も少なくて軽く読める小説かな。でも、意外と面白かったです。
<生きている間にした事はダイエットだけ、男と食べ物に未練を残して死んだ、若いお化けの亜由子。彼女の部屋に越してきた、浮気なくせに一途な男、正道。二人のおかしな共同生活が始まった。/お調子者の正道は、どこをどう間違ったのか、超堅物の慶子に惚れなおし、彼女のために女断ち。/ところが亜由子が、そうはさせじと(略)>(「お化け」、「超」に傍点。表紙カバー折り返しより)
正道はテレビ局に勤めるディレクターで、スポーツ中継を担当している。バブル期の話というか。天然でモテる感じです。それはともかく、亜由子が亡くなったのは1年前で、ごみ出し中に浪人生の飛び降り自殺(理由は不明)に巻き込まれてーーという設定になっている。でも、その浪人生に対する怨み言はぜんぜん語られていない。浪人生のほうは全治1ヶ月だったらしいけど、ーーもう大学受験どころではない?(そんなこともないかな...)。あと、亡くなった女性に対しては罪悪感まみれになっているかも?(女性の遺族から責められている、みたいな事態にはなっていない感じだけど。いや、書かれていないのでわからないけど)。
清水義範「背中」
『袖すりあうも多生の縁』(角川書店、1994.7/角川文庫、1997.7)所収、10篇中の最後の1篇。初出は『野性時代』1994年4月号らしい。父と息子の話で、お父さん目線の箇所もあるけど、主人公はやっぱり息子の和則(苗字は阿部)のほうかな。小さい頃から大人になって、働いて自分にも子供ができて、働いて一軒家を持つようになるまで。タイトルの「背中」はお父さんの泰興の。ーー自分もいい歳になっていて(父親はどんどん歳をとってきているし)なんていうか、こういう話がしみじみとしみてくる(作者は何歳のときにこれを書いているのかな? 1947年生まれだから1994マイナス1947で、49歳くらいのときか)。お父さんはいいところの大学(工学部)を出ているけれど、和則は、大学受験は2浪中にドロップアウト。北海道に息抜き旅行に行ってくる、と言って出掛けて、そのまま。働き始めてしまう。
香月日輪『地獄堂霊界通信2』
講談社文庫、2015.9。後ろのほうに<本書は2009年4月、講談社ノベルスとして刊行されました。>(原文漢数字)とあるけれど、もともとポプラ社から出ていたシリーズらしい(初出は1990年代?)。面白いのでこのシリーズ、読んでいきたいです(読んでいるシリーズものがたくさんあって、これ以上増やさないほうがいいんだけど(泣)。しかも、現在どれもこれもほとんど読めていない)。「第一話 幽霊屋敷 その一」に浪人生が一応、出てくる。保健室の先生・如月女医の弟の武郎(たけお)。二日酔いで予備校を休んでいるようでは、あまり勉強はしていない? 高校時代はラグビーをしていたらしい(勉強の絶対量が足りなくて浪人に?)。
荻原浩「金魚」
『月の上の観覧車』(新潮社、2011.5/新潮文庫、2014.3)所収、8篇中の4篇目。奥さんを亡くして、心療内科に通っている主人公(43歳)には同情するけど、小説としてどうなんだろう?(うーん...)。かつて美大を目指していたのは、高校時代に知り合った(のちの)奥さんがきっかけらしい。高校卒業後、上京して予備校に。そのとき「前衛芸術をやっているグループ」と親しくなったと言っている(p.152)。特に志望が美大だとそういうこともあるのかな? 予備校、例えば国立理系志望のクラスならそうしたことはあまりなさそうな?(いや、あるかもしれないけれど。あ、時代にもよるかも)。2浪の末、大学は諦めてデザイン専門学校に進んだらしい。
真坂マサル『アンダーワールドストリートへようこそ ~不運な女の子と呪われたボディガード~』
メディアワークス文庫、2015.10。ネットの感想で途中で挫折したとおっしゃっている方がいたけれど、文章(文体)とか視点の取り方とか、そこまでひどくはないと思う。これくらいなら個人的にはぜんぜん読める。内容は、
<“厄人”たちの集う危険な街へ、ようこそ。/「あなた呪われていますよ」/裏社会通り。日常からほんの一歩道を間違えた場所にあるその街には呪いを抱えた“厄人”たちが集っている。/あまりに不運な自分の身の上を「呪われている」と看破されてしまった四ツ葉つゆるもまた、その街に迷い込んだ。/彼女が出会うのは、(略)>(表紙カバー後ろより)
という感じ。1視点小説ではないけど、主人公はつゆりかな。一応、浪人生らしい。アラブの国の王女と間違われて誘拐されて(不運!)、大学受験ができなかったらしい。
*
たまたまだけど、元2浪ものが多かったかな(そうでもないか。『恋しても』と『地獄堂~2』は不明、『アンダー~』は1浪)。あと、図書館で借りた本で、笹沢左保「神の正体」(『現代の小説 1997』徳間書店、1997.5)というのを読んだけど、「浪人」は関係なかった(Googleブックスで「予備校」で検索して出てきたんだっけな)。
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[積読本の追加] 浪人生や元浪人生が出てくるかどうかはちゃんと読んでみないとわからないです。
・浅田次郎『活動写冩眞の女』集英社文庫。まったく未読。大学生が元1浪?(時代とか場所とかに惹かれて買ったのかも)。
・五十嵐貴久『誰でもよかった』幻冬舎文庫。被害者の1人が?
・堂場舜一『蝕罪 警視庁失踪課・高城賢吾』中公文庫。過去の話、被害者が予備校生?
・からて「第4話 嘘つきセミと青空」『マカロン大好きな女の子がどうにかこうにか千年生き続けるお話。』MF文庫J。ちゃんと読んでみないとわからないけど、再受験生?
・小池真理子『ふたりの季節』幻冬舎文庫。過去の話、彼氏のほうが。
・戸梶圭太『なぎら☆ツイスター』文春文庫。これはなんで買っちゃったんだろう、よく覚えていない。出ては来ないけれど、誰か登場人物の娘が浪人生だったかも。
・松村栄子『雨にも負けず粗茶一服』上下、ピュアフル文庫。高卒で浪人生のような、そうではないような?
・松本清張「坂道の家」『黒い画集』新潮文庫。出ては来ないのかな、刑事の話に?
あと、純粋な小説ではないけれど、次の2冊も持っている。
・川渕圭一『<小説>東大過去問・現代文』文庫ぎんが堂。シゲル1浪。おじさん元2浪。
・和田秀樹『受験のシンデレラ』小学館文庫。まったく未読、浪人生はあまり関係ないかも。
手に入っていなくても、地元の図書館にある本もあるんだけど、最近ぜんぜん本が読めていなくて...。本というか、文章(文字)が。
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