図書館で借りて読んだもの。
飯尾憲士「逝くものの川」
『〓抬〓〓(さむはら)』(4字中3字が出ないのか、集英社、1994.11)所収、5篇中の4篇目。初出は『文學界』1990年7月号。ちょっと考えさせられる感じだったかな(エンタメ系ではなくて純文学系の小説だしね)。病気とか老いとか、孤独とか、人間についてとか。表題作は未読だけど、書名からこの1作についてももっと宗教っぽい(何か仏教っぽい)小説を予想していたんだけど、そうでもなかった。隣人の1人が老人で、木彫りの仏像を彫っているけど。
主人公は五反田亮一(50代半ば)。4年前に妻を亡くしていて、いまは取り壊しが予定されているアパートでひとり暮らし。出版社で校正の仕事をしていたのだけど、会社勤めは辞めて、現在は在宅で校正の仕事をしている。アパートは目の前にどぶ川が、さらに中学校のグラウンドがあったりする。部屋は2階に4室あるうちの1室で、これまでに隣人たちは入れ替わったりしている。仏像彫りの老人は主人公よりも前からいたようだけど、昨年は予備校生や在日韓国人の兄妹(妹は聾唖者)が越してきたりしている。
主人公は亡くなった奥さんに見られているので(?)我慢しているけど、この予備校生の言動は、いらいらさせられる感じ。獣医学志望で3浪目。主人公の部屋に上げてもらうと、一方的に生物(の実験)の話をしてくる。引っ越して来たのは昨年の7月半ばで、引っ越していったのは今年の1月末。受験する大学の近くの下宿が空いたので、移ったらしい。主人公(と読者)には合否は不明。半年くらいでもお世話になったり、迷惑をかけたりした相手に対して冷たいというか、要するに自分勝手な浪人生? 人のこととは言えないけど、コミュニケーション能力が低い感じ?(あるいは浪人生活のせいでそれが低下中? 大学生になれば戻る可能性があるかも)。
未読だけど、1つ前の「闇がくる」(初出『すばる』1982年2月号)にも、ちょこっと老人&予備校生(老人&浪人)が出てくるっぽい。
*
あと、次の2作も。以前、図書館で借りた本で読んだもの。感想はほぼ省略です。
三浦哲郎『驢馬の鈴』
文藝春秋、1979.8/文春文庫、1984.11。借りたのは単行本のほう。初出については(メモしておいたんだけど)後ろのほうに「本書は、京都新聞ほか地方紙に昭和52年6月22日から昭和53年3月4日まで連載された。」と書かれている。真木一平、4浪。
新田次郎「すっぱいくちづけ」
『壺鳴り』(東都書房、1961.11)所収、7篇中の3篇目。初出は『オール讀物』1960年11月号。主人公は市田省一、浪人生。昭和16年生まれ。避暑のため、東京から山村に来て勉強。障子が振動するという怪現象に見舞われている。村全体が。なんていうか、結局、科学の勝利というか。
飯尾憲士「逝くものの川」
『〓抬〓〓(さむはら)』(4字中3字が出ないのか、集英社、1994.11)所収、5篇中の4篇目。初出は『文學界』1990年7月号。ちょっと考えさせられる感じだったかな(エンタメ系ではなくて純文学系の小説だしね)。病気とか老いとか、孤独とか、人間についてとか。表題作は未読だけど、書名からこの1作についてももっと宗教っぽい(何か仏教っぽい)小説を予想していたんだけど、そうでもなかった。隣人の1人が老人で、木彫りの仏像を彫っているけど。
主人公は五反田亮一(50代半ば)。4年前に妻を亡くしていて、いまは取り壊しが予定されているアパートでひとり暮らし。出版社で校正の仕事をしていたのだけど、会社勤めは辞めて、現在は在宅で校正の仕事をしている。アパートは目の前にどぶ川が、さらに中学校のグラウンドがあったりする。部屋は2階に4室あるうちの1室で、これまでに隣人たちは入れ替わったりしている。仏像彫りの老人は主人公よりも前からいたようだけど、昨年は予備校生や在日韓国人の兄妹(妹は聾唖者)が越してきたりしている。
主人公は亡くなった奥さんに見られているので(?)我慢しているけど、この予備校生の言動は、いらいらさせられる感じ。獣医学志望で3浪目。主人公の部屋に上げてもらうと、一方的に生物(の実験)の話をしてくる。引っ越して来たのは昨年の7月半ばで、引っ越していったのは今年の1月末。受験する大学の近くの下宿が空いたので、移ったらしい。主人公(と読者)には合否は不明。半年くらいでもお世話になったり、迷惑をかけたりした相手に対して冷たいというか、要するに自分勝手な浪人生? 人のこととは言えないけど、コミュニケーション能力が低い感じ?(あるいは浪人生活のせいでそれが低下中? 大学生になれば戻る可能性があるかも)。
未読だけど、1つ前の「闇がくる」(初出『すばる』1982年2月号)にも、ちょこっと老人&予備校生(老人&浪人)が出てくるっぽい。
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あと、次の2作も。以前、図書館で借りた本で読んだもの。感想はほぼ省略です。
三浦哲郎『驢馬の鈴』
文藝春秋、1979.8/文春文庫、1984.11。借りたのは単行本のほう。初出については(メモしておいたんだけど)後ろのほうに「本書は、京都新聞ほか地方紙に昭和52年6月22日から昭和53年3月4日まで連載された。」と書かれている。真木一平、4浪。
新田次郎「すっぱいくちづけ」
『壺鳴り』(東都書房、1961.11)所収、7篇中の3篇目。初出は『オール讀物』1960年11月号。主人公は市田省一、浪人生。昭和16年生まれ。避暑のため、東京から山村に来て勉強。障子が振動するという怪現象に見舞われている。村全体が。なんていうか、結局、科学の勝利というか。
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