読書メモ。

2016年12月20日 読書
2作。ちゃんとした感想ではなくてメモです。(ちゃんとした感想が書けたことは1度もない気がするけど(泣)。)

宇能鴻一郎「白鳥の蜜」
単著では『逸楽』(講談社、1968.7)という短篇集に収録されているらしいけど、図書館にあった『現代作家代表作シリーズ 好色の系譜』(講談社、1969.6)で読んだ。この本には書かれていないけど、ネット情報によれば、初出は『別冊小説現代』1967年10月らしい(合ってる?)。宇能鴻一郎だから(?)普通に官能小説なのかな、と思って読み始めてみたら、そうでもなかった感じかな...。なんていうか、ひとことで言えば「掃き溜めに鶴」みたいな話?(ぜんぜん違うかな...。わからない)。庄司薫『赤頭巾ちゃん気をつけて』とは違うけど、文体は饒舌な感じがして(なめらかなというか)読みやすかった。あと、想像していたよりもずっと“浪人生小説”だった。

上京して予備校に通っている牧雄。経済的に恵まれていないらしくーー老父は地方官吏を退職していて(最後は課長)、リューマチにもかかわらず息子への仕送りのためにタクシー会社に再就職しているーー、ぎりぎりの仕送りで生活していたのに、新宿の裏のへんで持っていた有り金ぜんぶを女に巻き上げられてしまう。で、同じ高校・同じ予備校の友人の川俣(経済的な心配がない)に紹介されていた運転手のバイトをすることに。運転手というのは、駐留軍を回ったり地方公演をしたりしているバレエ団の。牧雄はそこのアイドル(というかマドンナというか)の曙マリ(芸名)のことを好きになる(?)。ネタバレしてしまうけど、なんだかんだで予備校には行かなくなって、結局、大学(たぶん東大)は受験せずに終わってしまう。お父さんが息子の試験日に合わせて手紙を送ってきているというのに...。

大学に受かることを前提に、駒場に下宿(3階という名の屋根裏部屋、3畳)を借りてしまっていて、でも(大学には受からず)予備校は高田馬場にあって、という...。駒場って東大だよね?(東京のことがよくわからんです)。友達の川俣くんは吉祥寺にある親戚の家から予備校に通っているらしい。あと、川俣くん、夏休みに実家に戻って高校の補習科に通っていたと言っている。そういう手(というかパターン)もあるか...。予備校の夏期講習よりも安いだろうし、親戚の家だと居づらいかもしれないから夏休みくらいは迷惑をかけないように、とか。でも、勉強中心の受験生であっても夏くらい実家に帰えろうとは思うかな。(関係ないけど、「補習科」で検索すると、井上ひさし『青葉繁れる』がかかるんだけど、そんな話って出てきたっけな...。読んでいるんだけど、ぜんぜん覚えていない。主人公は高校3年生。)

伊集院静「風が変わって」
ゴルフ小説集『むかい風』(集英社、1994.7のち文庫)の全18話中の第11話。これも図書館で借りてきて読んだ(単行本のほう)。短い小説というか掌篇というか。父親が20歳をすぎたばかりの息子とゴルフをしているんだけど、お父さん(宮下忠男)が過去に浪人しているらしい。津軽の造り酒屋の長男(裕福)で、現役のときは風邪で試験が受けられず、上京して予備校に。予備校には通わなくなり、女・酒。小説家志望で(無頼派に憧れが)ーー結局、第1志望のところには受からず、私大文学部に。(生まれたのは終戦の年とあるので、浪人年は1964年かな。)
 

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