最近読んだものやだいぶ前に読んだもの(ここ1年半くらいの間に)。
中原文夫「彼らの此岸」
『不幸の探究』(作品社、2005.4)に収録されているらしいけど、地元の図書館にはなくて、初出誌『海燕』1994年12月号で読んだ(雑誌は借りられないので、コピーをとってきて。本が傷むからコピーはよくないよね...)。最初のへんに付いている紹介文は次のとおり。
<住宅メーカーの営業マン・瀬川秀夫は、障害のある一人息子をめぐって、家庭は多事多難。職場でも不祥事の火種をいろいろ抱えているが、ある日、十余年前の予備校生時代に一年だけかかわった奇妙な集団の一人から唐突な訪問を受け、タブーを犯したのでかつての仲間から告発されていると告げられる。こうして現実感の希薄な男たちとの交遊に引きずり込まれてしまうのだが、一方、公私の事情はいよいよ逼迫してゆくばかりだった。>(p.153上)
テーマは「幸せ」や「不幸」? いまいちピンと来なかったな...。ただ、知的障害のある子どもの子育ての大変さはよくわかった(自分に妻子がいないせいかもしれないけど。どれくらい現実的なのかはわからないです)。最初「奇妙な集団」の1人から電話がかかってきて、不穏な感じがして、もっと主人公が危険にさらされる話になるのかと想像していたら、それほどでもなかった。そういえば「夢」とか、ちょっと村上春樹っぽい感じはしたかな(作者は1949年生まれで村上春樹と同い歳みたい)。主人公は新潟出身で、上京して予備校に。中央線沿いの予備校で、下宿は床屋の2階だったそうだ。
*
車谷長吉「鹽壺の匙」
同名書(新潮社、1992.10/新潮文庫、1995.10)。単行本で読んだ。いちばん最後に収録されている。初出は『新潮』1992年3月号らしい。家族というか血族というかの話で、ちょっと考えさせられる。中心となっていると言っていいのか、自殺した叔父さんの話が。母方の叔父さんで、兄のような感じもするけど、「私(わたくし)」が小学校3年の時のことで、
<宏之はその年の三月、大阪大学工学部の入学試験を受けたが、落第し、二期校の横浜国立大学には受かったが、これを蹴って、神田駿河台の予備校に通い始めた。中野桃園町というところに下宿しているのだと聞いた。>(p.256)
夏に帰省していて。冬休みにも帰省してそのまま大学に行くのはやめている。「私」も思っているけど、東京で何が? と思ってしまった。昭和29年(1954年)に「神田駿河台」。読み終わってからだいぶ経って気づいたけど、久世光彦(肩書きは演出家? 2浪して東大に)が「御茶ノ水の予備校」に通い始めたのと同じ年。
加納朋子「マイ・フーリッシュ・アンクル」
『モノレールねこ』(文藝春秋、2006.11/文春文庫、2009.6)所収。初出は『オール讀物』2006年1月号らしい。文庫で読んだ(8篇中の3篇目)。だいぶ前に読んだのだけど、いい話だったような記憶が。旅行中の家族がホテル火災に巻き込まれて亡くなってしまい、中学生の「私」(部活の合宿があって参加できなかった)とダメ人間の叔父さん(30歳)とが2人で生活していくことに。叔父さんは大学受験に2年続けて失敗していて、3年目は受験せずそのまま...。けっこうよくあるパターン?
中原文夫「彼らの此岸」
『不幸の探究』(作品社、2005.4)に収録されているらしいけど、地元の図書館にはなくて、初出誌『海燕』1994年12月号で読んだ(雑誌は借りられないので、コピーをとってきて。本が傷むからコピーはよくないよね...)。最初のへんに付いている紹介文は次のとおり。
<住宅メーカーの営業マン・瀬川秀夫は、障害のある一人息子をめぐって、家庭は多事多難。職場でも不祥事の火種をいろいろ抱えているが、ある日、十余年前の予備校生時代に一年だけかかわった奇妙な集団の一人から唐突な訪問を受け、タブーを犯したのでかつての仲間から告発されていると告げられる。こうして現実感の希薄な男たちとの交遊に引きずり込まれてしまうのだが、一方、公私の事情はいよいよ逼迫してゆくばかりだった。>(p.153上)
テーマは「幸せ」や「不幸」? いまいちピンと来なかったな...。ただ、知的障害のある子どもの子育ての大変さはよくわかった(自分に妻子がいないせいかもしれないけど。どれくらい現実的なのかはわからないです)。最初「奇妙な集団」の1人から電話がかかってきて、不穏な感じがして、もっと主人公が危険にさらされる話になるのかと想像していたら、それほどでもなかった。そういえば「夢」とか、ちょっと村上春樹っぽい感じはしたかな(作者は1949年生まれで村上春樹と同い歳みたい)。主人公は新潟出身で、上京して予備校に。中央線沿いの予備校で、下宿は床屋の2階だったそうだ。
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車谷長吉「鹽壺の匙」
同名書(新潮社、1992.10/新潮文庫、1995.10)。単行本で読んだ。いちばん最後に収録されている。初出は『新潮』1992年3月号らしい。家族というか血族というかの話で、ちょっと考えさせられる。中心となっていると言っていいのか、自殺した叔父さんの話が。母方の叔父さんで、兄のような感じもするけど、「私(わたくし)」が小学校3年の時のことで、
<宏之はその年の三月、大阪大学工学部の入学試験を受けたが、落第し、二期校の横浜国立大学には受かったが、これを蹴って、神田駿河台の予備校に通い始めた。中野桃園町というところに下宿しているのだと聞いた。>(p.256)
夏に帰省していて。冬休みにも帰省してそのまま大学に行くのはやめている。「私」も思っているけど、東京で何が? と思ってしまった。昭和29年(1954年)に「神田駿河台」。読み終わってからだいぶ経って気づいたけど、久世光彦(肩書きは演出家? 2浪して東大に)が「御茶ノ水の予備校」に通い始めたのと同じ年。
加納朋子「マイ・フーリッシュ・アンクル」
『モノレールねこ』(文藝春秋、2006.11/文春文庫、2009.6)所収。初出は『オール讀物』2006年1月号らしい。文庫で読んだ(8篇中の3篇目)。だいぶ前に読んだのだけど、いい話だったような記憶が。旅行中の家族がホテル火災に巻き込まれて亡くなってしまい、中学生の「私」(部活の合宿があって参加できなかった)とダメ人間の叔父さん(30歳)とが2人で生活していくことに。叔父さんは大学受験に2年続けて失敗していて、3年目は受験せずそのまま...。けっこうよくあるパターン?
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